KOBE GREEN TRAIL

神戸を中心とした自然散策・山歩きと日常の日記などを書いています。

トップページ トレイル日記> 緑の洞窟に落ちる滝『シワガラの滝』へ

このエントリーをはてなブックマークに追加
◎当サイト内の一部のリンクにはアフィリエイトリンクが含まれます。
01
兵庫県美方郡‎ 新温泉町にある『シワガラの滝』を観に、山へ出掛けてきました。

◎写真がたくさんでとても長い記事です。動画もあります。
◎「シワガラの滝」の場所アクセスおよびエリア情報等の備考は本文最後に記載しています。






自分の山歩きの想い出や記録を残しておこうと、このブログを始めてから2ヶ月。
私は、真夏の灼熱の中を頑張って山に向かうことはなく、エトセトラな記事ばかりを書いてきました。
そうして、このブログに書く最初の山行日記は、地元神戸の山ではなく、
但馬の山中にある「滝」を拝みに行くというスペシャルな山行になりました。

夏の終わりに涼と癒しを求めて滝を観に行くことが好きで、
以前、養父市の『天滝渓谷』を訪れたのもこの時期でした。

02
【写真・上】シワガラの滝を目指して移動する途中、岸田川沿いの風景がひらけた場所で写真を一枚。

さて、今回の山行では、日頃からよく一緒に出掛ける高校時代からの友人を誘い、一緒に同行してもらいました。彼はアウトドアにはめっぽう疎く、山歩きは完全に初心者。そんな彼にとってはどんなイージーな山でも苦痛につながる恐れがある一方で、自分の脚で山を歩くことから感じられるものや、夢見た風景に出逢えることの感動を知ってほしくて、私から山行の話を持ちかけて、前々から相談をして準備をしてきました。

計画当初は、彼はザックやシューズも持っていなければ、必要なものが何なのかすら解らないので、戸惑いがあったようですが、用品の買い物には私が助言をし、一緒に選び、また山に入るにあたって覚えておくべき知識については度々話をして理解を深めてもらい、最終的には今回山に行くことを私より彼のほうが心待ちにするまでになっていました(笑)

03
【写真・上】右が友人、左が私。用品を一緒に選ぶと、私が良いと思って使っているものを彼も信じるので、気が付けば“お揃い”のアイテムも(笑)。ハットは私と同じモデルの生地違い、トレイルシューズは同じモデルの色違いになり、またザックは私が昔使用していたものを使ってもらいました。



トレイル&沢歩きに対応したウェアで行く

04
今回、コースの一部に沢登りを含むので、トレイルから沢へ、あるいはその逆をシームレスに歩破するために、トレイルシューズはサロモンの水陸両用シューズGECKO」を履き、ウェアの下はハーフスタイルとしました。

 参考リンク:SALOMON サロモン GECKO(楽天)

05
今回私は『シワガラの滝』の写真や映像をしっかりと撮影して帰るために、カメラ2台とムービー三脚を背負って歩きました。本来、山に携行する道具はより小型・軽量に必要最小限におさえるものですが、今回は行く前から撮りたい映像のイメージが頭の中に出来上がっていたので、それを実践するためにはオイルフリクションを搭載したムービー雲台と高さのある三脚が必要でした。

さて、前置きが長くなりましたが、ここから「いざ、シワガラの滝へ」。



コース前半は緑多きトレイル

06
朝の森独特のグリーンの匂い、しっとりとした空気を呼吸しながら、
まだ朝露の滴る草木の中を縫うようにして進みます。

07
日当たりの良いこういう場所は植生が豊かで、そこに棲む昆虫も多い。
このあたりはコースの全行程の中でも特にたくさんの虫の音が聞こえました。

08

まもなく水の流れる音が間近に聞こえ、付近の別の滝『布滝』へと続く小沢が視界に入る。
そこに架けられた木製の橋を渡り、むこう側のトレースへと進みます。

09
(写真上)写真を撮ってばかりの私の姿を、友人に撮られていました(笑)

上の写真のその時私が撮影していた写真はこちら↓
10
朝のその瞬間、その場所でしか見られない、美しい光景でした。

そんな景色が見える橋をこえてその先は、次第に木々が深く生い茂り、太陽の光が地面に届きにくい場所が多く見られました。そういう場所は、トレースでなくても草花の生えないところや、土が露出したところが多いものです。

11
12

13
先程の橋の架かる沢の先はしばらく登坂で、登り切ったところで現れるのは、
近くの別の滝『桂の滝』へ向かうルートとの分岐点。

この分岐点がある場所は、地形的には小さな尾根の先端付近にある小ピーク横のコルで、
シワガラの滝へは、ここから尾根の反対側の斜面に回ってトラバースして数百メートル進み、
滝の手前130mくらいのところから一気に沢へ降りてゆきます。

14
15

その「一気に沢に降りる」ところが、いわゆる難所で、まぁ一般的には『危険』といえるレベルです。
1m進む毎に標高が1m下がる程度の急勾配の斜面を降りてゆきます。

16
鎖とロープがありますが、これらに頼ってはいけません。鎖は最近交換されたのか、ギラギラ光っていましたが、固定が確実であるかは疑問な感触でした。ロープなんて、細い木の枝にくくりつけてあるだけで、引っ張れば枝ごと折れて飛んできそうな状態でした(笑)。身を任せようものなら命を落とすこともあるでしょう。



コース後半は沢歩き

17
急な斜面を降りきると、それまで土ばかりだった地質が岩盤質に変わります。そこにどこからともなく水が滴り、染み渡って、岩肌を黒光りさせながら下へと流れてゆくのが見えました。

その先の水の集まるところが、沢。
ここから、水にザブザブ入りながら、沢の最奥にある『シワガラの滝』を目指します。
18
ゴロゴロした岩の上を進んだほうが安全な箇所は、岩の上を。
沢の水の中を進んだほうが安全な箇所は、水の中を。
より安全なルートを見つけながら脚を進めてゆきます。

19
今回『シワガラの滝』へは、本当は8月中の山行を計画していたのですが、週末の度に天気が崩れたり、前日までに現地で降雨があったりで、安全に出掛けられる日がなかなか見つからず、予定より1ヶ月以上ずれ込んでしまった結果、暑い真夏日が終わってしまい、なんとまぁ水が冷いこと(笑)。実際には、1ヶ月で水の温度が下がったのではなく、気温による体感指数の違いなのですが。

ともかく、足を水につけた瞬間の「アォッ!」という感じが強烈で、思わず声が出ました。しかしこれも初めのうちだけで、すぐに慣れてきます。なんというか、小学校のプールの授業のときに入水直後は皆冷たくてキャーキャー叫ぶけど、じきに慣れて平気になるあの感じを思い出しました。

20
そうして水の中を進み、岩を越えて、沢の奥へと進みます。

21
【写真・上】カメラ手持ちで動画を撮る私の姿。岩壁を流れ落ちてくる水滴に見惚れていました。


そうして、ついに沢のツメの部分へ。
巨大な緑の壁が折り重なるその光景に、ただただ圧倒されました。

22


23
そして、その最奥の岩の割れ目の、その中へ。

24
本当に、凄いところだ。自然の造形とは、なんと素晴らしいのだろう。
洞窟の中から見上げる緑の壁は、とても大きく高く、視線が自然と上に向いてしまうのでした。



「シワガラの滝」を間近で見る

洞窟を奥に進んで振り返れば、そこには「シワガラの滝」が降り注いでいました。

25
-Technical Data- ■カメラ:Canon EOS7D ■レンズ:EF16-35mm F2.8L Ⅱ USM(ズーム位置:16mm) ■ISO感度:200 ■絞り値:F/5.6 ■露出時間:1秒 ★ND8xフィルター装着

「動画」

【動画】 緑の洞窟に落ちる滝「シワガラの滝」 WG-2 & EOS-Movie

約2分間の動画で、前半は滝を目指して歩くトレース~沢登りの様子、後半は滝と洞窟をじっくりと眺める内容となっています。後半はフルハイビジョン画質の美麗映像です。
(*ハイビジョン画質で視聴するには、再生画質を720pまたは1080pに設定します)


今回、洞窟内で滝の目の前で撮影するにあたって、
いろいろ機材の保守について考えた結果、カメラに傘をさすことにしました(笑)
26
カメラボディもレンズも防滴構造ではありますが、あまり過信したり酷使したりするものではありません。水中撮影ができるような防水構造とはまったく異なりますからね。実際に、防滴仕様の機材の浸水例は多いです。ですので、滝からも洞窟の天井からも水が飛びまくる今回の様な状況で、機材を濡らさない対策が必要でした。レインカバーとか防水ケースとか色々あるのですが、操作性や画質の問題もあり、結局このバカバカしい「一眼レフカメラ用アンブレラ」がベストな選択になりました(笑)


27
緑の空洞の上からは、水と一緒に森の風が吹き込んで、風は滝の水飛沫と混ざり合い、
ここの空気は独特の感触で肌をさすって沢へと抜けてゆくのでした。

28
こうして、私は撮りたかった絵が撮れて、友人もたくさん写真を撮って、
二人で上ばかり見上げて、ひとしきりこの緑の空間を楽しみました。

「この光景を、忘れないでおこう」、そして「またここへ、滝に会いに来よう」と、二人で話しました。
友人がとても爽快な表情をしていたのが印象に残っています。

そうして、いつまでも眺めていたい気持ちを引きずりながら、復路につきました。
何故だろう、意識していたわけではないのですが、私は二度と滝を振り返ることはありませんでした。
ただ、「絶対にまた来よう」と、それだけはこの時すでに心に決めていました。



シワガラの滝から引き返す

緑の沢はまるでジャングル

29
30
シワガラの滝があるこの沢を去る前に、記念撮影をしようと私が提案。
滝へ向かう往路で見つけた流木の山が、撮影用のお立ち台にぴったりだと目をつけていたからです。
(上:友人が撮った私、下:私が撮った友人)


天気が崩れる前に、山を降りる

31
そうして、沢から急斜面を登り、尾根を巻くトラバース道まで戻ってくると、視界が開けて、たちこめる雲と霧が風景をぼんやりと怪しく見せていました。

シワガラの滝を見ているとき、緑の壁の隙間からのぞく空が、徐々に薄暗くなっているのに気が付いていました。予想していたとおり、この日の天候の推移は、山側から崩れてはじめたのでした。

32
雨に降られたりする前に山を抜けて、今度は海へと車を走らせました。
海辺は気持ちの良い青空が覗いているはず。

そして、餘部へ。



海辺の町、「餘部」へ

33
34
やはり海辺は良い天気。青空と橋梁を見上げながら、道の駅「あまるべ」へ。
今年7月に開館したばかりの新しい道の駅です。
ここで昼食をとって、それから余部橋梁を眺める高台へ。

35
その途中、出逢ったカマキリ。
そしてカマキリのハンズアップ記念撮影。

36

・余部橋梁で動画を撮影

37
高台の撮影ポイントに着いて、餘部湾の青い景色を眺めながら過ごす時間。
電車がやってくるのを待って、橋梁の上を通過する映像を撮影しました。

・動画

【動画】 余部橋梁を渡る特急はまかぜ (JR山陰本線・餘部駅) EOS-Movie


・海辺や山道を探検

38
それから、再び山へ。釣り場開拓が目的です(笑)
地形図で見つけて目をつけていた餘部近くの沢を海のほうへと下りました。



鳥取経由で、おやつを食べて帰る

一日の最後は、美味しいおやつで締めくくります。

鳥取、東浜近くの洋菓子屋さん『トゥジュール』へ。
ここでケーキと飲み物を口にしながら、しばしの休息の時間を過ごしました。

39
40
私は写真のクレープ菓子とピンクグレープフルーツのジュースを、友人はチーズケーキとコーヒーを、それぞれいただきました。

41
それから、家族へのお土産にプリンや焼き菓子を数種類と、
翌日以降の朝食用にパンを買って帰りました。

こうして今回は、朝「シワガラの滝へ」、昼「餘部へ」、夕「おやつ」という行程で一日をフルに使って遊び疲れ、最後に甘いものでいくらか元気を補給したところで、長い長い帰路へとついたのでした。

季節はもう完全に秋らしくなってきましたが、
この日、最後に残された夏のひとかけらを感じられた一日でした。

次は何処へ、何を見つけに行こう。
楽しい計画をこれからまた考えてゆこうと思います。



「シワガラの滝」へのアクセス・エリア情報

「シワガラの滝」へのルートの入口の場所&周辺地図

シワガラの滝へのルート入口付近をマークした地図です。拡大・縮小・移動して確認してください。
地図中のマークやオブジェクトをクリックすると、地点情報などが表示されます。

より大きな地図で Outdoor CHECK POINTS を表示

ルート入口から「シワガラの滝」までの大まかな地図


GPSの捕捉が困難な場所なので、このルートマップは私が地形図と記憶と写真を頼りに作成したものです。概ね正しい情報といえますが、正確性等について保証はしません。

「シワガラの滝」についての解説

兵庫県美方郡‎ 新温泉町にある滝(落差15m程度)である。シワガラの滝までの道のりは、山の中に入ると途中までは道がつけられているが、後半は岩が転がる沢の中を行くことになる。沢は奥に進むほど両側が高い岩壁になり、その最奥には小さな洞窟がある。シワガラの滝はその洞窟の中に横から流れ込んでいるため、洞窟の中に足を踏み入れて初めてその姿を見ることができる。

コース前半の山道は、なだらかな起伏・急激な起伏・曲がりくねった道・眺望が開けるところなど変化に富んでいて面白い。地質はやや粘土質を含んでおり、濡れると滑りやすく、靴のソールにも詰まる。おまけに急斜面を下りるような箇所もあるので、安全か危険かと問われれば間違いなく「危険」な場所であるといえる。有志によってロープなどが付けられている箇所もあるが、あまり頼りにはできない。

コース後半の沢歩きは、水量にもよるが濡れずに沢を歩くことは難しく、長靴やウェーダーあるいはウォーターシューズなど季節・気温に合わせた装備が必要だ。沢歩き専門の装備でも良いが、コース前半の粘土質な地面でソールが詰まっては意味が無いので、沢に下りたところで一度装備を着替えるなど、前半・後半ともに万全の装備で挑むべきである。

コースはとても短いが危険が多いため、登山・ハイキングの初心者にはお勧めできない。スズメバチなどの危険生物のほか、ザトウムシ・ヘビ・蛙などの生物などが大量にいるので、苦手な人は山行をやめておいたほうが良いだろう。コースの最初には木製の橋があるが、その先はいわゆる遊歩道のようなわかり易い整備は一切されておらず、実際の山行時には地形図とコンパスも持っておいたほうが良い。GPSや携帯電話の電波はほとんど入らないので、モバイル機器を地図代わりに使う場合は、あらかじめデータをキャッシュしておくべきである。また、同じく電波状況の悪さゆえに、万が一の時に救助を求めるのも至難である。そのため単独での山行は控えるべきである。滝は水量のある時のほうが見ごたえがあるが、雨中・雨後の山行はお勧めしない。

確認!

ファーストエイドキットは用意していますか?
山に冒険しに行けば、怪我をする可能性はどこにでもあります。
 参考記事:『ファーストエイドキットの必要性
 参考記事:『ファーストエイドキットの中身

「シワガラの滝」を目指すコースも、事故につながる危険箇所はたくさんあります。
万が一、自分や同行者が怪我をしても、なんとか自力で下山できるように、
「もしも」のための準備を怠らないようにしましょう。

備考

コースの難易度把握等の参考にしてください。☆評価のある項目は5段階評価(個人的見解)
◎登山道の難易度・・・・・☆☆☆☆ (コースは短いが、多くの危険をともなう) 
◎歩き易さ・・・・・☆ (急斜面、沢歩きなど、歩きにくい箇所が大半)
◎安全水準・・・・・☆ (誤って転倒・滑落等すれば死傷しうる箇所あり、救助活動も困難)
◎コースの特長・・・・・沢を目指して斜面を下り、沢の中をザブザブ歩く、短いがハードなコース
◎コースの標高・・・・・標高500~600m程度 (低山のため緑が多い)
◎所要時間・・・・・「ルート入口~シワガラの滝」、片道1時間程度。
◎危険箇所や難所の有無・・・・・あり (崖・高所・滑りやすい足場・落石・倒木・水場の歩行)
◎適した服装や装備・・・・・崖および水中を歩ける靴が必要。服はなるべく長袖長ズボンが良い。
◎気を付けたいこと・・・・・スズメバチや毒蛇も生息しているので、刺激しないよう注意が必要。
◎携帯電話電波状況・・・・・深い山中のためほとんど電波が入らない
◎お年寄り・子供の可否・・・・・行くべきではない。危険箇所があり他人に頼らない体力が必要。
◎許容人数・・・・・3~5人程度のグループ可。単独山行は危険。駐車スペースに限りあり。

このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ